新しい産業用印刷技術への投資は、企業が競争力を維持するために極めて重要である。ミマキ、HP、コニカミノルタのようなメーカーは、スピード、品質、持続可能性を改善し、自動化やメディアの柔軟性を高めるような機能を提供する機械を開発している。ロブ・フレッチャーは産業用印刷機械に焦点を当て、いくつかのメーカーにそれぞれの製品と新しい機械を導入するメリットについて話を聞いた。

昔から言われているように、「お金を稼ぐためにはお金を使わなければならない」。現在の厳しい経済情勢では、言うは易く行うは難しであるが、この格言は、特に、最も価値のある契約を確保するために各社がしのぎを削っている多忙な印刷市場で競争力を発揮することに関しては、これまでと同様に真実である。

しかし、印刷生産ラインナップを強化するために新しい機械の導入を検討する立場にある人々にとって、それは決して簡単なプロセスではない。市場には非常に多くの選択肢があるため、点線のサインをして投資に踏み切る前に、入念な調査と計画が必要である。

本特集では、複数のプリンターメーカーにインタビューし、産業用印刷で最も注目されている新しいソリューションについて、また、印刷会社が生産強化のために、財政的に厳しい時期に、より多くの資金を投入することを検討すべき理由について聞いている。

期待に応え、コストを削減する

最初にアドバイスするのは、ミマキヨーロッパのプロダクトマネージャーであるArjen van der Sluijs氏である。彼は、急速に進化する市場で競争力を維持するためには、産業用印刷機械のアップグレードが不可欠であると説明した。

「印刷技術は急速に進歩しており、新しい機械はスピード、品質、効率、持続可能性において大幅な改善をもたらします。「アップグレードすることで、印刷ビジネスは高まる顧客の期待に応え、運用コストを削減し、規制の変化に先んじることができます。アップグレードは、単に遅れを取らないということではなく、収益性を高める新しい機能を引き出し、ビジネスの将来性を高めるということなのです。

では、新しい機械を購入する際、印刷会社は何を見るべきなのだろうか?ファン・デル・スルイスによれば、企業はまず、その技術がスピード、印刷品質、コスト効率の面で現在の生産ニーズを満たしていることを確認する必要がある。しかし、長期的に考えることも同様に重要である、と彼は付け加えた。

「真に価値あるソリューションとは、拡張性をサポートし、ダウンタイムを最小限に抑え、進化する規格や素材との互換性を提供するものです。「将来性があり、ROI(投資収益率)が高く、今後の規制に対応できるシステムを探してください。

キャプションミマキはUJF-3042 MkII eとUJF-6042 MkII eの下取りキャンペーンを実施している。

同氏は、ミマキUVプリンター全機種に対応するELHおよびELSインクの発売を中心に、ミマキにおけるいくつかの開発について言及した。これらのインクはSVHCフリーで、世界初のCMRフリーのUVインクであり、ファン・デル・スルイス氏は、人と環境の両方にとってより安全で持続可能な選択であると述べた。

「早ければ2027年にSVHC製品の使用が禁止される可能性がある中、これらのインキは、当社の従来のインキ配合と同じ高性能を維持しながら、企業が規制の変化に先手を打つのに役立ちます。

さらに、ファンデルスルイス氏によると、ミマキは新しい下取りキャンペーンを実施しており、顧客が現在使用しているUVフラットベッドプリンターを、ブランドに関係なく下取りすることで、最新モデルであるUJF-3042 MkII eおよびUJF-6042 MkII eを大幅な割引価格で購入できるという。

大判思考

また、HPは産業用印刷オプションの一部を紹介している。HPは、最新の大判プリントポートフォリオは、パフォーマンス、自動化、持続可能性において新たなベンチマークを設定するために構築されていると述べた。

このプリンターには、白インク機能、自動メンテナンス機能、UL ECOLOGO®認証の再生プラスチックを含む水性インクが搭載されており、環境への影響を低減している。

キャプションHPは新しいHP Latex R530をすでに数台導入している。 画像クレジット:HP

「Latex R530は厚さ5cmまでのリジッド基材に直接印刷でき、リジッドジョブとフレキシブルジョブをシームレスに切り替えることができるため、ユーザーはより多くの印刷ジョブをより高速(屋内モードでは毎時24平方メートル)で実行することができる。

デジタル・クリエイティブ・サービス社(英国)は、2025年4月にラテックスR530を導入した最初の英国企業となり、ドイツではムンシュタイナー・ヴェルベテクニク社(Munsteiner Werbetechnik)のフォルカー・ボスル社(Volker Bosl)も同機に投資した。ドイツでは、Munsteiner Werbetechnik社のVolker Bosl氏も同機に投資し、リジッド基材への多様化と、ヘルスケア、ホスピタリティ、インテリアデザインなどの分野におけるクライアントの需要に応えるために同機を導入した。

「アクリルガラスや複合材への新たな応用を可能にする白色インク、ダウンタイムを短縮する自動再循環、設置を簡素化する単相電源システムにより、これらのプリンターは、健康的で安全、持続可能な印刷製品に対する顧客の期待に応えながら、製品ラインアップを拡大しています」とHPの広報担当者は述べた。

HP Latex 730 & 830シリーズもHPの製品で、HP Pixel Controlカラーパイプラインによる細部の鮮明化とバンディングの低減、迅速な生産速度、自動両面印刷、EPEAT Climate+認証による持続可能性などを特徴とする次世代プリンターである。初期のユーザーであるドイツのDCO Digitaldruck Centrum Oldenburgは、低パス・モードにおいて、より細かいディテール、バンディングの低減、シャープなテキストを実現し、そのすべてが同社の大量のグラフィックやサイネージ制作を直接サポートする技術であると賞賛している。

HP PrintOS Production Hubは、HPの発表によると、受注管理と遠隔生産管理を一元化されたリアルタイムのシステムで統合し、ワークフローを合理化して運用の複雑さを軽減する、世界で唯一の大判プラットフォームである。

さらに、AEC分野では初となるAIを活用したラスターからCADへの変換機能「HP Build Workspace with AI Vectorisation」や、現場での床平坦度測定と標高補正マーキングを自動化する「HP SitePrint Flatness Measurement Service」も利用できる。さらに、HPの顧客は、環境パフォーマンスを向上させるための自己評価ツール、パーソナライズされた推奨事項、専門家によるベストプラクティスを提供するSustainability Amplifier Programmeを利用できる。

競争の激しい市場で存在感を保つ

最後にコメントするメーカーはコニカミノルタである。コニカミノルタビジネスソリューションズUKのプロフェッショナルプリントカテゴリーマネージャーであるマルコム・スミス氏は、産業用プリントは急速に進化しているため、立ち止まるという選択肢はないと述べた。

「機械のアップグレードは、スピードや品質だけではありません。「今日の印刷業界の顧客は、リードタイムの短縮、メディアの柔軟性の向上、持続可能な生産など、より多くのことを期待しています。パッケージング、ラベル、高付加価値装飾のいずれに進出しても、適切な投資によってビジネスモデルを変革することができます。

高品質なソリューションに何を求めるかについて、スミスは、顧客は単なる印刷機ではなく、完全なソリューションを求めていると述べた。これは、信頼性、より高度な自動化、妥協することなく様々な基材を扱う能力を意味すると彼は言う。

「例えば、当社のAccurioPress、AccurioShine、AccurioLabel、AccurioJetシリーズは、一貫した出力と、時間と労力を節約するインテリジェントなワークフロー統合を実現するように作られています。「お客様のビジネスを理解し、長期的にサポートしてくれる専門的なサプライヤーを持つことは非常に重要です。

コニカミノルタの最新ソリューションのひとつ、AccurioPress C14010Sは、最高140ppmの印刷速度を実現し、薄紙、厚紙(最大450g/平方メートル)、エンボス紙、封筒、ポリエステル、カットシートラベルの印刷が可能な、フラッグシップの大容量トナー印刷機である。

「スミスは次のように述べています。「全体として、私たちはインクジェット、エンベリッシュメント、ラベルの各ソリューションに重点的に投資しています。「ダイレクトメール用の柔軟性の高い高速インクジェットであれ、ブランドインパクトを高める触感のある装飾であれ、私たちはプロの印刷業者が大量印刷を越えて利益率の高い創造性に移行するお手伝いをしています。

産業用印刷機器をアップグレードすることで、多くのメリットが得られることは明らかです。ここで紹介する2つのメーカーは、ワイドフォーマットであろうとなかろうと、産業用印刷のニーズで印刷会社をサポートできる専門プロバイダーのほんの一部に過ぎない。しかし、どのような新規投資でもそうであるように、印刷会社は適切なソリューションにお金を費やしていることを確認するために、デューデリジェンスを実施すべきである。