FESPAでは引き続き、ガーメント・プリンティング社のディレクター、ギャビン・ドレイク氏とアドロゴ社のマネージング・ディレクター、ニック・ブラントンリード氏を招き、ダイレクト・トゥ・ガーメント・プリンティングについて紹介する。

 

今日、捺染やガーメント・プリントの技法は数多くあり、バイヤーやデザイナーは選択に迷ってしまう。しかし、ドレイク氏もブルントンリード氏も、印刷業者にとって最適な技法を選択するのは複雑なプロセスだと説明する。

ドレイクは、ガーメント・プリンティングの仕事への取り組み方についてこう語る:「何よりもまず、クライアントの要望を見極めなければなりません。ファッションブランドから、すぐに再販できるような仕事を依頼されたら、DTGを思い浮かべるでしょう。クライアントの希望する仕上がりに最適なプロセスを特定するためには、他にもさまざまな質問をする必要があります。デザインには何色使われているのか、色柄のある服にプリントするのか、それとも白い服にプリントするのか、デザインはどのくらい複雑なのか、パントンカラーに正確に合わせる必要があるのかなどです」。

「DTGは、小売店向けの迅速なフルカラー印刷に最適です」とドレイクは続ける。DTGの仕事ではすべて、仕上がりの “ばらつき “をお客様に確認しています。100枚のTシャツをプリントする場合、仕上がりの3、4枚は他の製品ほど完璧ではない可能性があります。前処理技術、機械、ハードウェアの品質を完璧にすることで、技術を完璧にすることができるのです」。

ブルントン・リード氏は、DTG印刷はあるものには非常に適しているが、他のものにはあまり適していないと付け加える。「スクリーン印刷の方が、大きなベタ色を扱うにはずっと優れていると思います。DTGプリントが好まれるのは、インクがより薄く、粘度が低いため、インクが衣服の表面に付着するのではなく、衣服の中に入り込むからです。

「DTGはまた、たくさんの色、濃淡、色調の画像をプリントするのにとても適しています。DTGインクは水性なので環境に優しく、化学薬品を使用しないため、ベビー服や子供服にとても適しています。写真のような画像や、複数の色調を持つ多色のロゴが必要な場合は、スクリーン印刷や転写よりもDTGの方が適しています」。

DTGでは、黒やカラーの衣服にプリントすることは、常に可能だったわけではありません」とニック・ブラントンリード氏は説明する。「DTGプリントサービスを開始した当初は、ブラザーのマシンを使用していました。DTGで黒やカラーの衣服にプリントしたいという要望が出始めた頃、市場に出回っていたマシンの多くは、オフィスタイプのインクジェットプリンターを改造したものでした」。

「プリンターはTシャツを印刷するために改造されたもので、その結果、プリントヘッドはTシャツを印刷するために特別に作られたものではありませんでしたし、Tシャツの印刷に使われるインクは、ご想像の通り、紙に印刷するのとはまったく異なります。そのため、特に白インクの場合、インクをプリントヘッドに通すのにいつも問題がありました”

「ブラザーや他のDTGメーカーは、カラー衣料へのDTGプリント専用のプリントヘッドを製造しています。現在では、すべてのカラー衣料にプリントできるブラザーGT3マシンを使用しています」。

DTGの見積もり時に印刷業者が考慮する必要があるのは、衣服の色です。これは、DTGプリントプロセスだけでなく、仕上がりの衣服にも大きな影響を与えます。

色物へのプリントは、白物よりも若干難しいとドレイクは言う。「白い衣服にプリントする場合、デザインの中の白い色はTシャツの色なのでプリントされません。そのため、仕上がりはとてもソフトで軽いプリントになります。また、水性の環境に優しいインクを使用しているので、白い衣服にも鮮やかにプリントできます」。

「一方、カラー衣料にプリントする場合、最初にしなければならないのは衣料を前処理することだ。印刷業者は、鮮やかな色を作るのに役立つ特殊な水性薬品を使って、プリントする部分を前処理する必要がある。その後、デザイン全体の白いレイヤーをミリ単位でプリントし、最終的な色を乗せる。これは1工程ではなく、3工程のプロセスだ。その結果、プリンターが2倍から3倍の量のインクを使用するため、カラー衣料へのプリントには時間がかかり、コストも高くなる。また、化学薬品を混ぜ合わせることで、より厄介なことになります」。

 

捺染プリントや衣服の装飾には数多くの技術がありますが、DTGはそのひとつにすぎません。しかし、顧客が迅速で小ロット、鮮やかで小売に適した衣類を望んでいるのであれば、DTGはまさにうってつけである。